「メンタルが強い」「メンタルが弱い」という言葉は、SNSや日常会話の中でよく使われますよね。
仕事でのプレッシャー、恋愛や人間関係のストレス、将来への不安。
そんな中で「あの人はメンタル強いよな」「自分は弱い方だ」と感じる人も多いと思います。
ですが、本当に“強さ”と“弱さ”の線引きは、単純にストレスに耐えられるかどうかで決まるのでしょうか。
僕はそうは思いません。
欠乏学という視点で考えると、メンタルの強さ・弱さは「欠乏感との向き合い方」によって大きく変わるのです。
- 欠乏感とは何か
- メンタルが強い人は「欠乏感に向き合う」
- メンタルが弱い人は「欠乏感から逃げる」
- 具体例で考える「強さと弱さ」
- メンタル強さの正体は「自己再養育」
- メンタルを強くする具体的ステップ
- まとめ
欠乏感とは何か
欠乏学では、人が感じる「生きづらさ」「不安」「孤独感」の正体を“欠乏感”と呼びます。
これは単なるネガティブな感情ではなく、生命維持機能としての警報システムです。
たとえば、
-
お腹が空けば「食べたい」という欠乏感が生まれる（生理的な欠乏）。
-
周囲との関係が希薄になると「孤独感」が生まれる（所属・愛の欠乏）。
-
誰からも評価されないと「自分には価値がないのでは」という不安が生まれる（承認の欠乏）。
このように、欠乏感は「危機があるよ」と教えてくれるサインなんです。
問題は、この欠乏感にどう反応するか、という点です。
メンタルが強い人は「欠乏感に向き合う」
メンタルが強い人は、欠乏感を感じたときにそれを逃げずに受け止めます。
例えば、仕事で上司に厳しく叱られたとしましょう。
多くの人は「否定された」と感じて辛くなりますよね。
ここでメンタルが強い人は、「自分は承認を求めすぎていたのかもしれない」「評価されないと不安になる自分がいる」と、欠乏感を観察するんです。
つまり、心の痛みを“材料”として捉えるのです。
そして、その痛みを糧にして「じゃあ自分で自分を承認できる方法を探そう」「他者評価だけに依存しない働き方を考えよう」と前に進みます。
欠乏感を敵とせず、むしろ成長のサインと見るのです。
これが、欠乏学的に見た“メンタルの強さ”です。
メンタルが弱い人は「欠乏感から逃げる」
一方で、メンタルが弱い人は欠乏感を直視せずに回避します。
先ほどの例なら「叱られたのは上司が悪い」「こんな職場はクソだ」と他責に走るか、「どうせ自分なんて無能だ」と自己否定に沈みます。
どちらも欠乏感を受け止めずに避ける反応です。
もちろん一時的には楽になります。しかし問題は何も解決しないまま残り、むしろ欠乏感は繰り返し現れるのです。
そして「仕事を変えても人間関係が苦しい」「恋愛をしても結局同じ不安に悩む」と、人生全体に広がってしまう。
つまり、欠乏感から逃げ続ける限り、心はいつまで経っても不安定で“弱い”ままなのです。
具体例で考える「強さと弱さ」
ここでいくつか具体例を挙げましょう。
1. 恋愛の場面
-
強い人：恋人に「もっと優しくしてほしい」と感じたとき、「自分が愛されたいという欠乏感が強いな」と気づく。そして自分で自分を大切にする行動をとる。結果、相手に依存しすぎない健全な関係が築ける。
-
弱い人：同じ場面で「相手が冷たいから不安なんだ」と考え、相手を責めたり過度に縋ったりする。結果、関係は壊れやすくなる。
2. 仕事の場面
-
強い人：評価されないと感じたとき、「承認欲求が自分を支配しているな」と気づく。そして自己承認の方法を模索する。たとえば、自分の成長を数字で見える化したり、小さな成功を自分で褒めるなど。
-
弱い人：「誰も自分を認めてくれない」と被害者意識を募らせ、やる気を失う。
3. 人間関係
-
強い人：嫌われたかもしれないと感じたとき、「孤独の欠乏感が怖いんだな」と気づく。そこで、自分一人でも安心できる時間を持ち、自立した関係性を築こうとする。
-
弱い人：「嫌われるくらいなら我慢しよう」と迎合しすぎて、自己を偽り続ける。
これらの違いはすべて「欠乏感を直視するか、逃げるか」に集約されます。
メンタル強さの正体は「自己再養育」
欠乏学の核心は「欠乏感は幼少期の家庭環境から強く影響を受ける」という点です。
たとえば、承認されない家庭で育てば、大人になっても承認欲求が過剰に強まります。
メンタルが強い人は、この幼少期からの欠乏感を大人になってから“自分で再び育て直す”ことをします。
これを「自己再養育（re-parenting）」と呼びます。
つまり、かつて親から十分にもらえなかった安心や承認を、大人になった自分が自分自身に与え直すのです。
逆に、メンタルが弱い人はこの作業を避け、他人に「埋めてもらおう」とし続けます。
その結果、人間関係や社会環境に振り回されて疲弊してしまうのです。
メンタルを強くする具体的ステップ
ここまで読んで「じゃあどうすればメンタルを強くできるの？」と思った方もいるでしょう。
欠乏学の立場から、具体的にできることをいくつか紹介します。
-
欠乏感を言語化する
まず「自分はいま何が欠けていると感じているのか」を言葉にします。たとえば「孤独で不安」「承認されなくてつらい」など。言語化することで、ただの漠然とした苦しみが“対象化”されます。 -
欠乏感を否定しない
「こんなことで不安になるなんて弱い」と自分を責めず、「そう感じるのも当然だ」と受け止めます。これが自己受容の第一歩です。 -
自分で満たす小さな行動をとる
例えば、孤独を感じたら「一人で好きな場所に出かける」「自分に手紙を書く」など。承認が欲しいなら「小さな達成を記録して褒める」など。他人ではなく自分で満たす練習をします。 -
繰り返し自己再養育する
欠乏感は一度で消えるものではありません。何度も繰り返し、自分で自分を育て直すことが必要です。ここに本当の意味でのメンタル強さが宿ります。
まとめ
「メンタルが強い人」と「弱い人」の違いは、生まれつきの性格や才能ではありません。
欠乏感にどう向き合うか、その選択の積み重ねで決まります。
-
欠乏感に直面し、材料として成長に変える人は“強い”。
-
欠乏感を避け、他者や環境に埋めてもらおうとする人は“弱い”。
そして、誰でも今日から「欠乏感に向き合う選択」をすることができます。
逃げずに受け止めること。
自分で満たす行動を重ねること。
そうすれば、あなたのメンタルは必ず強くなります。
欠乏学の視点で言えば、メンタル強化とは“欠乏感との付き合い方を学ぶこと”に他なりません。
あなたもぜひ、自分の欠乏感と向き合い、強さを育てていってください。
【セッション・各種SNSはこちら】
