突然ですが、あなたは「ありのままの自分でいい」という言葉に、どんなイメージを抱いていますか?
僕自身も、これまで何度となく目にしてきました。
でも、そのたびに「本当にそうだろうか?」と疑問に感じていたんです。
もし「ありのまま」でいいのなら、努力しなくてもいいの?
誰にでも優しくしなくてもいい?
でも、そうしたら嫌われたり、怠け者だと思われたりするんじゃないかと。
多くの人が僕と同じように、この言葉に惹かれる一方で、混乱を感じているのではないかと思うのです。
この記事では、「ありのままの自分でいい」という言葉がなぜ誤解されやすいのか、そしてその本当の意味について、深く掘り下げてみたいと思います。
誤解されがちな「ありのまま」の3つの落とし穴
「ありのままの自分でいい」という言葉を安易に受け入れてしまうと、私たちは知らず知らずのうちに、3つの落とし穴にはまってしまうことがあります。
1. 努力しなくていい=怠惰の免罪符化
「ありのままの自分でいいんだから、苦手なことを克服する必要はないし、嫌なことからは逃げてもいい」。
そう考えてしまうと、成長するための努力を放棄してしまいます。
まるで「ありのまま」という言葉が、自分の怠惰を正当化するための言い訳になってしまうのです。
2. 誰にでも受け入れられる=迎合の温床
「ありのままの私を、みんなに受け入れてほしい」。
そう願うあまり、かえって他人の顔色をうかがって、誰からも嫌われないように振る舞ってしまうことがあります。
これは「ありのまま」ではなく、他人に迎合している状態です。
3. 自分勝手でもいい=配慮の放棄
「ありのままの自分でいるんだから、周囲に気を使う必要はない」。
こうなってしまうと、自分の意見ばかりを主張し、相手の気持ちを無視してしまいます。
これではただのわがままです。
僕が思うに、これらは「ありのまま」の姿ではありません。
むしろ、承認欲求や所属欲求といった「欠乏感」から生まれた、ゆがんだ解釈です。
本来の「ありのまま」とは? 3つの柱で考える
では、本来の「ありのまま」とは、いったい何なのでしょうか。
僕は、次の3つの柱で成り立っていると考えています。
1. 今の自分を否定せずに受け止める「自己受容」
「ありのまま」のスタート地点は、今の自分を否定せずに受け止めることです。
これは「今の自分は完璧だ」と自惚れることではありません。
「苦手なこともあるし、失敗もするけれど、これが今の僕なんだ」と、良い面も悪い面も含めて認めることです。
2. 全員に好かれる必要はないと認める「選別の覚悟」
自分を偽らないということは、全員に好かれることを諦める、ということです。
なぜなら、ありのままの自分を好きになってくれる人もいれば、そうでない人もいるからです。
すべての人から好かれようと無理をするのではなく、自分を大切にしてくれる人との関係を築く覚悟を持つことが重要です。
3. 自分も相手も尊重する「相互性」
「ありのまま」は、わがままや自己中心的な態度とは違います。
自分を尊重するように、相手も尊重する。
相手の「ありのまま」も受け入れ、対等な関係を築く。
この相互的な関係があってこそ、真の「ありのまま」は輝きます。
「欠乏感」に支配されない生き方
「ありのままの自分をみんなに認めてほしい」という強い願いは、承認や所属・愛といった欲求の「欠乏感」から生まれます。
この欠乏感に支配されていると、人は「ありのまま」を誤用してしまいます。
「自己受容」とは、この欠乏感を直視するプロセス。
「誰かに認めてもらいたい」という他者依存的な承認から、「自分自身を認める」という自己承認へとシフトしていくことです。
嫌われる可能性を前提に立つ「実践」
「ありのままの自分でいること」は、誰からも好かれる魔法ではありません。
むしろ、嫌われる可能性を前提に立つことです。
ですが、「嫌われても大丈夫」と思えるのはなぜでしょうか?
それは、自分自身が自分を承認できているからなのです。
「ありのままの自分でいい」という言葉は、僕たちに「拒絶されても揺らがない自分を育てる」ことを求めているのです。
そのための具体的なステップをいくつか紹介しましょう。
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自己再養育のワーク: 子供の頃、親や周囲から言われて傷ついた言葉を、今の自分が肯定的な言葉で上書きするワークです。「あなたはダメな子だ」と言われた記憶があるなら、「あなたは素晴らしい存在だよ」と自分に語りかける練習をします。
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内面化のワーク: 自分が理想とする人物の言葉や価値観を、自分の中に「内面化」するワークです。尊敬する人の言葉を日記に書き写したり、その人の考え方を真似して行動したりすることで、自己肯定感を高めていきます。
まとめ
「ありのままの自分でいい」という言葉を、もしあなたが「何もしなくてもいい」という意味で捉えているなら、それは誤解です。
本来の「ありのまま」は、自己受容と自己承認から始まる、人生の出発点なのです。
そこから人間関係の中で磨かれ、より良い自分へと成長していく。
そのプロセスに、本当の喜びがあるのではないでしょうか。

だから、「ありのままの自分でいい」とは、誰にでも受け入れられる魔法の言葉ではなく、「拒絶されても揺らがない自分を育てるための覚悟と、成長への出発点」なのです。
あなたにとっての「ありのまま」は、どんな意味を持つでしょうか?
ぜひ、この機会に考えてみてください。
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