
「すごいね」「よく頑張ったね」と褒められたとき、素直に嬉しいと感じられず、むしろ「裏があるのでは」と疑ってしまう。
僕はこの感覚をずっと不思議に思っていました。
多くの人にとって褒められることは喜びですが、アダルトチルドレン(AC)の僕にとっては、褒められるたびにどこか身構えてしまうのです。
今回は、なぜ褒め言葉に疑いを持ってしまうのか、過去の体験がどう影響しているのか、そして少しずつ安心して褒めを受け取る方法について整理していきましょう。
- 褒めに潜む“別の意図”の可能性
- よくある褒めの裏の意図
- 褒めに疑いを持つ自分を責めなくていい理由
- 褒めに対する疑いの心理的構造
- 褒めを受け取る練習
- 褒めに対する疑いは優しさの裏返し
- 日常での実践例
- まとめ
褒めに潜む“別の意図”の可能性
褒められたときに疑いが生まれるのは、単に「素直になれない性格」だからではありません。
実は、過去に受けた褒めには、別の意図が隠されていた経験が影響していることが多いです。
たとえば、子どもの頃にこんな経験はありませんでしたか?
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「よくできたね」と褒められた直後に「でももっとやらなきゃダメ」と叱られた
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「えらいね」と言われたのは、親の機嫌を取る行動をしたときだけだった
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褒められたあとに、条件付きで期待や要求を押し付けられた
こうした経験が繰り返されると、「褒め=安心」ではなく、「褒め=裏があるのでは」という学習が心に刻まれてしまいます。
つまり、褒め言葉の裏に隠された意図を無意識に探してしまうのは、過去の自分を守るための防衛反応なのです。
よくある褒めの裏の意図
ここでは、具体的に褒め言葉に隠されやすい意図を整理します。
操作・コントロールの意図
「すごいね、でも次はもっと頑張ってね」と言われる場合です。
褒めのあとに要求や期待が続くと、褒め自体が相手をコントロールする手段になっています。
子どものころ、親の褒め言葉が「次への指示や要求」に変わる体験をした人は、大人になっても褒めに警戒心を持ちやすいです。
罪悪感を誘う意図
「ここまでできたけど、まだこれだけしかできないの?」
褒めつつ不足を指摘されるパターンです。
受けた側は「褒めてもらったのに、まだダメなんだ」と罪悪感を抱きやすくなります。
こうした体験は、褒めに対して「疑う」という心理を強化します。
評価・試すための意図
「ここをできたね。じゃあ次はもっとできる?」
褒めることで安心させつつ、実は能力を測る心理的テストになっていることもあります。
褒め言葉が「評価のための道具」として使われると、素直に喜ぶことが難しくなります。
褒めに疑いを持つ自分を責めなくていい理由
褒めに裏を疑ってしまう自分を責める必要はありません。
むしろそれは、過去に自分を守るために身につけた防衛反応です。
僕自身、褒めに対して素直に喜べなかったとき、友人から「素直になれないなんて損してる」と言われたことがあります。
でもそれは違いました。
喜べないのは、心が壊れる痛みを避けようとしているからです。
この防衛反応は、無意識のうちに僕を守ってきた“生存戦略”なのです。
褒めに対する疑いの心理的構造
褒められたときに疑いが生まれる心理は、以下のように整理できます。
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過去の体験が基準になっている
子どもの頃、褒めは条件付きであったり、要求の前兆であったりしました。
その経験が大人になった今も無意識に影響しています。 -
信じることへの不安
「信じたら傷つくかもしれない」という予防意識が強く働きます。
これが褒めを疑う感情として表れるのです。 -
自己防衛としての疑い
疑うことで、自分を守ろうとしています。
本来は受け入れたいけれど、心の安全のために距離を置いている状態です。
褒めを受け取る練習
では、どうすれば褒められても疑いを減らすことができるのでしょうか。
僕が試して効果的だったステップを紹介します。
1. 信じられなくてもいいと自分に許可する
まずは「今はまだ信じられないけど、受け取ってもいい」と自分に言い聞かせます。
無理に喜ぼうとせず、防衛反応を尊重することが大切です。
2. 感情を優先する
褒めの裏を考えるよりも、自分が今どう感じているかに注目します。
「嬉しい」「モヤモヤする」「不安」という感情を言語化すると、心が整理されやすくなります。
3. 小さな褒めから試す
親しい人や信頼できる友人からの褒め言葉を、少しずつ受け入れてみる練習をします。
最初は受け取るだけで、返答や行動は必要ありません。
「褒めは必ず裏がある」と決めつけず、体感で学ぶことが大切です。
4. 自分の褒めも意識する
自分で自分を認める習慣をつけると、他人の褒めにも安心感を持ちやすくなります。
たとえば「今日はよくできた」と自分に言い聞かせるだけでも、心の防衛が少しずつゆるみます。
褒めに対する疑いは優しさの裏返し
褒めを疑う自分は、決して人を信じられない冷たい人間ではありません。
むしろ、人の言葉を真剣に受け止めようとしている優しさの裏返しです。
僕自身、褒められるたびに「信じたいけど傷つくかもしれない」と葛藤していました。
でもその葛藤の中に、信じたい気持ちが確かに存在していることに気づいたのです。
つまり、褒めに対して疑いを持つことは、自分の心の安全を守りながら、少しずつ他人を受け入れる準備をしているサインとも言えます。
日常での実践例
僕が試している、褒めに対して安心感を育てる実践方法をいくつか紹介します。
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日記に書く
褒められた内容と自分の感情を記録します。「モヤモヤした」「嬉しかった」など、感情を書き出すことで整理できます。 -
信頼できる人からの褒めを受け取る
最初は短くても構いません。「ありがとう」と返すだけでも、褒めを受け取る練習になります。 -
自分を褒める習慣
朝や夜に「今日は頑張った」「ここはよくできた」と自分で褒める習慣を持つと、他人の褒めを自然に受け入れやすくなります。 -
過去の体験を振り返る
「なぜ褒めに疑いを持つのか」を紙に書き出すと、無意識に影響している思考パターンを客観的に確認できます。
まとめ
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褒めに裏を疑うのは、過去の体験が影響している防衛反応です。
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子どもの頃の褒めには「要求・評価・操作」が隠れていた場合があります。
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疑う自分を責めず、まずは「信じなくてもいい」と自分に許可を出すことが大切です。
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感情を整理し、小さな褒めを受け取りながら、少しずつ安心感を育てていきましょう。
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褒めに疑いを持つのは、他人を大切に思う優しさの裏返しであることを忘れないでください。
僕自身もまだ完璧にはできませんが、少しずつ褒めを受け取る練習を続けることで、心の安心感は確実に増してきました。
褒められたときに「裏があるのでは」と疑ってしまう自分を責めるのではなく、その気持ちをやさしく見守ることから始めてみてください。
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