過去の出来事を何度も後悔してしまう心理と抜け出し方|アダルトチルドレンの心を癒す方法

過去の出来事を何度も思い返してしまうのか

気づけば、同じ出来事を何度も思い返していませんか?

「あのとき、ああしていればよかった」

「なんであんなことを言ってしまったんだろう」

頭では「もう終わったこと」だとわかっていても、心が何度も巻き戻してしまう。

それが“後悔”という心の反芻です。

 

僕も長い間、過去に囚われて生きてきました。

夜になると当時の光景がフラッシュバックして、何度もため息をつきながら「やり直したい」と願っていました。

でも、あるとき気づいたんです。

後悔とは「出来事をやり直したい」わけではなく、「出来事で失った安心を取り戻したい」だけなんだと。

 

 

 

後悔の正体は「出来事の受け入れ拒否」

後悔とは、「あの出来事を受け入れられない心の状態」です。

例えば

  • 失敗して怒られた

  • 好きな人に冷たくしてしまった

  • 誰かに誤解された

そうした過去を何度も思い返すのは、「もう二度とあんな思いをしたくない」という防衛反応です。

でも本当のところ、僕たちが避けようとしているのは“出来事そのもの”ではなく、その出来事によって生まれた欠乏感(=心の穴)なんです。

欠乏学的に見る「後悔」の構造

欠乏学の視点から見ると、後悔はこう整理できます。

後悔とは、出来事に伴って生まれた欠乏を回避しようとする思考。

具体的にはこうです

出来事 欠乏の正体 後悔の思考
失敗して怒られた 承認の欠乏(自分は価値がない) 「あの時、もっと頑張ればよかった」
傷つけてしまった 所属・愛の欠乏(嫌われた) 「あんなこと言わなければよかった」
誤解された 安全の欠乏(見捨てられる不安) 「どうして上手く説明できなかったんだろう」

つまり、僕たちは後悔することで「欠乏を取り戻そう」としているのです。

でも、思考で欠乏感を埋めることはできません。

なぜなら、欠乏感は思考ではなく感情だからです。

受け入れられないのは「欠乏を感じるのが怖いから」

「出来事を受け入れる」とは、その出来事に紐づく感情をまるごと感じることです。

でもアダルトチルドレンの場合、そこには“恐怖”が伴います。

幼少期、感情を表現したときに「泣くな」「そんなこと言うな」と否定された経験。

孤独や無力感を抱えたまま誰にも助けてもらえなかった経験。

それらの記憶が、「感情を感じる=危険」という信号を出しているのです。

 

だから、出来事を思い返すとき、心は欠乏の痛みを避けるように思考の中で反芻を始めます。

つまり、後悔は「欠乏を感じないための思考的防衛」なんです。

アダルトチルドレンの後悔が深い理由

アダルトチルドレンにとって、「後悔」と「孤独回避」はほぼ同義です。

幼少期に、「誰も助けてくれなかった」「理解してもらえなかった」

そんな経験をした人は、「またあの孤独を感じたくない」という無意識の防衛を持っています。

 

後悔はその防衛の一形態。

「次はこうしよう」
「もっと頑張れば大丈夫だったのに」

この思考は、孤独を感じないようにする自己制御なのです。

 

でも、そのコントロールを強めるほど、現実からは離れ、心は閉じていきます。

結果的に、後悔が深まるほど“孤独”は増していくのです。

人間関係の後悔に潜む孤独の構造

たとえば、こんな経験はありませんか?

「あのとき、あの人に素直になれなかった」
「もっと感謝を伝えておけばよかった」

これらの後悔の裏には、「もうあの人とはつながれない」という孤独の痛みがあります。

でも僕たちは、その痛みをまっすぐ感じるのが怖い。

だから、「こうすれば良かった」と“条件付きの思考”で安心を取り戻そうとするのです。

しかし、欠乏は条件では満たせません。

「もし〜だったら」は、いつまでも過去を条件化し、“今ここ”の自分を生きる力を奪っていきます。

受け入れるとは「欠乏を抱きしめること」

出来事を受け入れるとは、その中で失ったと感じた「愛」や「つながり」や「安心」を
もう一度、自分の中に取り戻すことです。

それは「もうあの時の自分を責めない」という決意でもあります。

僕は、過去の自分を許せなかった時期がありましたが、こう言葉をかけるようにして少しずつ癒されていきました。

「あの時の僕は、あれが精一杯だったんだ」
「あの時、誰にも頼れなかっただけなんだ」
「あの痛みの中で、よく生き抜いたね」

“受け入れ”とは、過去を正当化することではなく、「その時の自分を理解してあげること」なんですね。

後悔を癒す3ステップ

ステップ1:気づく

「また過去を思い返しているな」と気づくこと。

反芻思考は無意識の自動運転なので、まずは意識に上げることが大切です。

ステップ2:感情を特定する

「あの時、何を失ったと感じたのか?」を丁寧に言葉にします。

  • 愛されたかったのか

  • 理解されたかったのか

  • 安心したかったのか

ここを見つめることで、「欠乏の正体」が明らかになります。

ステップ3:再養育する

見つけた欠乏に対して、今の自分がもう一度与え直す

  • 「あの時の僕は、精一杯頑張ってたよね」

  • 「あの時の自分を、今の僕が守るよ」

過去を変えるのではなく、過去の自分に“寄り添い直す”ことで、ようやく欠乏は癒されていきます。

後悔は「思考」ではなく「感情」で癒すもの

多くの人は後悔から抜け出そうとして、ポジティブ思考や自己啓発的な言葉で上書きしようとします。

でも、それは欠乏の「上塗り」にすぎません。

本当の癒しは、感情の受容によってのみ起こります。

 

感情を感じることは痛みを伴います。

でも、その痛みを感じきったとき、初めて「もう終わったこと」と心が理解します。

僕が後悔を手放せた瞬間

僕が初めて後悔を手放せたのは、「あのとき誰も僕を理解してくれなかった」という孤独を正面から受け入れた時でした。

ずっと「もっと上手くやれたはず」と思っていたけれど、実際は「誰かに助けてほしかった」だけだったんです。

 

その気づきとともに、涙が止まりませんでした。

そしてようやく、「あの時の僕」を抱きしめることができた。

 

後悔が消える瞬間とは、“過去の自分を責める視点”が、“理解する視点”に変わる時です。

 

 

 

まとめ

もう一度、整理します。

  • 後悔は、出来事ではなく「欠乏」を回避する防衛反応

  • 出来事を受け入れられないのは、欠乏を感じるのが怖いから

  • アダルトチルドレンの後悔の正体は「孤独回避」

  • 癒しの鍵は、感情を感じきり、過去の自分を抱きしめ直すこと

後悔は、あなたの心がまだ癒されていないサインです。

つまり、「自分をもっと大切にしたい」という成長の兆しでもあります。

 

過去を思い返すたびに、「なぜこんなに後悔するのだろう」と責めるのではなく、「それほどまでに、あの時の僕は寂しかったんだ」と理解してあげてください。

 

後悔は、あなたが“まだ自分を見捨てていない”証拠です。

そして、その痛みを超えた先にしか、本当の自己受容と自由はありません。

 

過去を受け入れるとは、「もうあの時の自分を責めない」と決めること。

後悔は、あなたの心が“癒しを求めている”メッセージです。

 

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