
恋愛関係において、つい相手に尽くしすぎてしまう。
そんな自分に悩んでいる人は少なくありません。
僕も過去に、相手に喜ばれるために何でもしてしまう自分に疲れていたことがあります。
しかし、この「尽くしすぎる行動」の背景には、ただの優しさや性格では説明できない心理構造が隠されているのです。
実は、僕たちが恋愛で過剰に尽くしてしまうのは、愛されたい、見捨てられたくない、孤独を避けたいという根本的な欲求が関係しているのです。
今回はアダルトチルドレンの視点を交えながら、恋愛で尽くしすぎてしまう心理の原因と、その対処法について具体例を交えて解説していきます。
自分を責めずに、まずは自分の行動の背景を理解することが第一歩です。
過剰に尽くしてしまう行動の特徴
恋愛で尽くしすぎる人の行動には、いくつか共通するパターンがあります。
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相手の機嫌や感情に必要以上に気を使う
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自分の欲求や感情を後回しにして、相手の望むことを優先する
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相手に喜んでもらうために、自分の時間やエネルギーを犠牲にする
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相手が喜ばなかったり反応が鈍いと不安になる
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恋愛がうまくいかないと自分の価値まで否定されたように感じる
たとえば、休日に自分の予定があるにもかかわらず、相手の希望を優先してしまう。
相手が疲れていると聞くと、自分も疲れていても予定をキャンセルして相手に合わせる。
こうした行動は、一見「思いやり」と見えるかもしれませんが、背景には「自分の存在を相手の評価に委ねる心理」が隠れています。
過去の経験が影響している
尽くしすぎる行動は、幼少期や過去の恋愛経験に根ざしていることが多いです。
特にアダルトチルドレンの場合、家庭や親子関係で「愛されるためには何かをしなければならない」という学習をしていることがあるのです。
条件付きの愛
たとえば、子どものころ、親が僕の手伝いや成果にしか反応してくれなかったとします。
「掃除を手伝ったときだけ褒められる」「良い成績を取ったときだけ認められる」などですね。
こうした経験を積み重ねると、無意識のうちに「自分は何かを提供しないと愛されない」と学習してしまいます。
恋愛においても同じです。「相手に喜んでもらえる自分=愛される自分」という思考パターンが出来上がり、相手に尽くすことが安心感や価値を感じる手段になるのです。
孤独回避の戦略
尽くす行動は、単に相手のためではなく、自分の孤独や不安を避ける手段でもあります。
「愛されたい」「見捨てられたくない」という欠乏感に飲まれることで、相手の望みに過剰に応え、自分を犠牲にしてしまうのです。
これは生存本能に近い心理であり、過去の経験から学んだ「安全戦略」とも言えます。
尽くしすぎることの弊害
過剰に尽くす行動は、一見相手を喜ばせるように見えますが、長期的には自分や恋愛関係に悪影響を及ぼすことがあります。
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自分の欲求が置き去りになる
相手の希望ばかり優先することで、自分が本当にしたいことや感じたい感情が抑えられます。これにより、自分の人生の主体性が薄れてしまいます。 -
依存的な関係になりやすい
相手が自分に依存的になる、あるいは自分が相手に依存的になることで、健全な対等関係が築きにくくなります。 -
疲弊しやすい
体力や精神力を犠牲にして相手に合わせ続けるため、恋愛そのものに疲れてしまうことがあります。 -
愛情と価値提供の混同
「相手を喜ばせる=愛される」という思考が強すぎると、相手の感情に振り回されやすくなります。これにより、恋愛に安心感を感じるどころか、不安や緊張が増すことになります。
尽くしすぎパターンから抜け出すには
では、どうすれば尽くしすぎてしまうパターンから抜け出せるのでしょうか。
ポイントは目的と手段を分けて意識することです。
1. 自分の価値を相手の評価に委ねない
まずは、「相手の評価=自分の価値」という考え方を手放す必要があります。
過去の経験で学習した「価値提供して初めて愛される」という思考を見直すのです。
たとえば、何もしていなくても自分は存在しているだけで価値がある、愛されるに値する存在だ、と自分に言い聞かせましょう。
2. 境界線を意識する
尽くすことは悪いことではありません。ただ、自分が無理をしていないかを意識することが重要です。
「ここまではできるけど、これ以上は自分のためにとっておく」という境界線を持つことで、健全なバランスを保てます。
具体例:
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相手の頼みを全部聞くのではなく、自分の予定や体力を考えて優先度を決める
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相手の感情に過剰に振り回されそうになったら、一度距離を置く
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自分が疲れない範囲で喜ばせる方法を選ぶ
3. 自己承認の習慣を作る
相手に喜んでもらうことだけでなく、自分で自分を労う習慣を持つことも大切です。
自分を承認することで、孤独や不安を外部に依存せずに満たすことができます。
具体例:
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頑張った自分に小さなご褒美をあげる
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「今日はよくやった」と自分に声をかける
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他者の評価ではなく、自分の内側から安心感を得る
4. 愛情と価値提供を切り離す
相手に尽くす行動と、愛されることは別であることを理解しましょう。
相手のために何かをするのは、自分がしたいからであり、愛される保証ではないと認識することがポイントです。
具体的な実践ワーク
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尽くす前に立ち止まる
「この行動は相手のためか、自分の不安を埋めるためか?」と問いかける。
→ 無意識に尽くすのではなく、意識的に選択する。 -
境界線を書き出す
自分の体力、時間、感情のリソースをリスト化し、どこまで相手に使えるか明確にする。 -
自己承認リストを作る
毎日、自分がしたことや頑張ったことを3つ書き出す。
→ 他者の評価に依存せず、自分の価値を確認する。 -
小さな「NO」を練習する
過剰に尽くす癖を和らげるために、少しずつ自分の意志で断る経験を増やす。
→ 例:「今日は疲れたから予定を変更してもいい」と自己判断する。
まとめ
恋愛で尽くしすぎてしまうのは、単なる性格の問題ではなく、過去の経験や孤独への不安が背景にある心理的な反応です。
「愛されたい」「見捨てられたくない」という欠乏感が、無意識に尽くす行動を生んでいるのです。
重要なのは、自分を責めずに、まずはその行動の背景を理解すること。
そして、自己承認や境界線を意識しながら、健全なバランスを取り戻すことが可能です。
少しずつ自分の欲求や感情を大切にすることで、尽くすことに疲れず、より対等で安心できる恋愛関係を築けるようになります。
過去の学習や欠乏感に縛られた行動パターンは、理解と意識的な練習によって変えていくことができます。
恋愛での尽くしすぎに悩むあなたも、自分の行動の背景を知ることで、少しずつ自由に、自分らしい愛し方を取り戻せるはずです。
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