自分が本当にやりたいことがわからない理由|孤独回避が隠す本心とは

僕は最近、自分自身の行動や選択を振り返るたびに、ふと「そもそも自分は本当に何をしたいのだろう」と思うことがあります。

仕事や人間関係、趣味や生活の中で「これが自分の望みだ」と胸を張って言えることは、意外と少ないものです。

特に幼少期に家庭環境や他者の期待に応え続けてきた人、いわゆるアダルトチルドレンの方ほど、この悩みは深刻かもしれません。

 

僕自身も、つい他人の期待や評価に沿った選択をしてしまい、結果的に自分の本当の欲求を見失うことがありました。

では、なぜ僕たちは「本当にやりたいこと」がわからなくなるのでしょうか。

それには、深い心理的理由があるのです。

 

 

 

他人の期待に沿う選択が本当の欲求を隠す

幼少期に、親や周囲の評価を優先して生きてきた経験は少なくありません。

たとえば、家族から「勉強しなさい」「迷惑をかけないようにしなさい」と言われ続けると、自然と「自分のやりたいことよりも、周囲の期待を優先する」という習慣が身につきます。

このような習慣は、成長しても無意識に残り、自分の欲求を抑える行動として現れます。

 

具体的には、次のような行動パターンがよく見られます。

  • 友人や恋人の希望に合わせて行動してしまう

  • 嫌われたくないあまり、やりたくないことでも「いいですよ」と言ってしまう

  • 自分が本当に興味のあることをやろうとすると不安や罪悪感が湧く

このように、他人の期待に沿う行動を繰り返すことで、表面的には人間関係の摩擦を避けられますが、その裏で自分の欲求は押し込められ、見えなくなってしまうのです。

抑圧された欲求は孤独回避の産物

僕は、自分の本当の欲求が見えなくなる理由のひとつは「孤独回避」にあると考えています。

孤独回避とは、言い換えれば「人に嫌われたり見捨てられたりしないように、自分を抑える心理」です。

 

幼少期から孤独を恐れて他者の期待に応え続ける経験をしている場合、僕たちは「本当にやりたいこと」を表現することで孤立するのではないかという恐れを持つようになります。

その結果、次のような現象が起きます。

  • 自分の欲求を無意識に押し込めてしまう

  • 他人の期待に沿った選択を優先する

  • 自分の行動理由が「安全の確保」や「孤独回避」に置き換わる

このパターンは非常に厄介で、本人は「やりたいことがわからない」と感じるだけでなく、行動の動機自体が「他人の承認を得るため」や「孤独を避けるため」に偏ってしまいます。

たとえば、趣味やキャリアの選択で「これがやりたい」と思ったとしても、「でも周りはこう思うかもしれない」「失敗したら誰も助けてくれないかもしれない」といった恐れが先に立ち、結局本心を押し殺すことがあります。

これがまさに、抑圧と孤独回避が絡んだ状態です。

欠乏感との関係

僕の考えでは、この孤独回避は「欠乏感」と深く結びついています。

欠乏感とは、生命維持や心理的安定のために生まれる感覚ですが、幼少期に十分に満たされなかった場合、大人になっても「不安」や「不足感」として表面化します。

 

特にアダルトチルドレンの人に多いのは、「所属・愛の欲求の欠乏」です。

親や周囲の愛情や承認を完全に信頼できないため、常に他人からの承認を求め続けます。

すると、次のような状態に陥りやすくなるのです。

  • 本当にやりたいことを選ぶよりも、他人に嫌われない選択を優先する

  • 選択の基準が外部評価に依存する

  • 欲求自体が抑圧され、見えなくなる

言い換えれば、「自分が本当にやりたいことがわからない状態」は、孤独を避けるために自分を抑圧してきた結果でもあるのです。

具体例で理解する

例1:趣味選び

友人がスポーツを楽しんでいるから、自分もスポーツを始める。

しかし、実際には絵を描く方が楽しいと感じている。

理由を分析すると、「友人と同じことをして孤独になりたくない」「人と違うことをすると嫌われるかもしれない」という恐れが働き、本当の欲求(絵を描きたい)が抑圧されている状態です。

例2:キャリア選択

親が安定した職業を望んでいたため、大学や就職先を親の希望に沿って選ぶ。

しかし心のどこかでクリエイティブな仕事に憧れている。

ここでも「親に見捨てられたくない」「家庭内の期待に応えたい」という孤独回避の心理が、自分の欲求を押さえています。

抑圧から抜け出す方法

では、抑圧されて見えなくなった「本当の欲求」を取り戻すにはどうすればよいのでしょうか。

僕は次のステップをおすすめします。

1. 小さな欲求に気づく

まずは日常の中で、微細な「楽しい」「やってみたい」「心地よい」と感じる瞬間をメモしてみてください。

たとえ小さなことでも、自分の感覚に正直になる習慣が大切です。

2. 他人の期待との切り分け

何かを選択するときに、「これは自分の欲求か?それとも他人の期待か?」と問いかけます。

紙に書き出す、声に出してみるなど、意識化するだけでも違います。

3. 安全な環境で試す

小さな行動から始めて、自分の欲求を表現してみます。

失敗しても誰も責めない環境が理想です。

趣味の時間を作る、ひとりで外出する、少人数での挑戦など、孤独を恐れず試すことが重要です。

4. 欠乏感に気づく

「孤独や不安が動機になっていないか」を観察します。

欠乏感を意識できると、なぜ自分の欲求が抑圧されるのか理解しやすくなります。

 

 

 

まとめ

僕たちが「本当にやりたいこと」を見失うのは、単なる迷いではありません。

それは、孤独回避のために自分を抑えてきた心理的な結果です。

特にアダルトチルドレンの方は、幼少期に形成された欠乏感や他人基準の選択習慣が深く影響しています。

 

しかし、押し込められた欲求は完全に消えたわけではなく、見えなくなっているだけ。

小さな喜びや心地よさに気づき、他人の期待との区別をつけ、少しずつ自分の本当の欲求を表現していくことで、自分が本当にやりたいことは必ず見えてきます。

 

孤独を避けるために抑えてきた自分自身に気づき、少しずつ解放すること。

それこそが、自由で満たされた生き方への第一歩なのです。

 

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