誰かが怒っていると自分のせいに感じる理由|アダルトチルドレンと過去の理不尽な怒り

誰かが怒っている場面に出くわしたとき、つい自分のせいだと思ってしまうことはありませんか。

「自分が悪かったのだろうか」「もっとこうすればよかったのか」と考えてしまい、胸の奥が苦しくなることもあるでしょう。

 

僕自身も、過去に親の理不尽な怒りや否定的な言葉を受けて育った影響で、大人になった今でも、他人の感情に過敏になってしまうことがあります。

今回は、そんな「誰かの怒りを自分の責任と感じてしまう心理」について、アダルトチルドレンの視点から解説していきます。

具体例も交えながら、なぜそのように感じてしまうのか、そしてどう対処できるのかまで丁寧にまとめました。

 

 

 

なぜ怒りを受けると自分のせいだと思ってしまうのか

誰かが怒ったときに「自分が悪いのかもしれない」と考える背景には、過去の体験による条件付けがあります。

特にアダルトチルドレンとして育った人は、子どもの頃に理不尽な怒りを経験しているケースが多いです。

 

例えば、親が些細なことで怒鳴ったり、理由を説明せずに叱ったりする環境で育つと、子どもは「怒られる=自分が悪い」と無意識に学習します。

このとき脳は、怒りの原因が自分にあると判断することで、コントロールを取り戻そうとします。

つまり、「自分さえ正しく振る舞えば怒られない」と考えるのです。

 

しかし、大人になった今でもこのパターンは残ります。

職場や友人関係で誰かが怒ったときに、自分の行動を過度に責めてしまうのは、過去の条件付けが無意識に影響しているからです。

理不尽な怒りを受けた経験

具体的な例を挙げると分かりやすいでしょう。

友人の体験を一つ紹介します。

 

子どもの頃、親が夕食の準備を手伝わなかったことに対して突然怒鳴りつけてきました。

しかし理由を聞いても「手伝わなかったから怒っている」とだけ言われ、納得できる説明はありませんでした。

その経験から彼は、「誰かが怒るときは必ず自分が悪い」と無意識に考える癖がついてしまったようで、学校や社会で同じように怒られる場面に出くわすと、状況に関係なく「自分のせいだ」と思い込んでしまうのです。

 

別の例として、職場で同僚がイライラしていた場合も、自分の行動を疑ってしまうことがあります。

例えば、「メールの書き方が悪かったのだろうか」「返信が遅れたせいで不快にさせたのかもしれない」と考えてしまうのです。

しかし、実際には同僚の怒りは仕事のストレスやプライベートの問題に起因していることも多く、自分のせいではない場合がほとんどです。

怒りを自分の責任と感じてしまう心理の背景

この心理には、いくつかの要因が絡み合っています。

1. 所属感と安全欲求の不安

人間は、社会的な存在である以上、孤立や拒絶に対する恐怖を持っています。

 

誰かに怒られると、自分が居場所を失うのではないかという不安が芽生えます。

このとき「自分が悪かった」と考えることで、心の中で安全感を回復しようとするのです。

アダルトチルドレンの方は特に、幼少期に家庭内で「愛されるために条件付きで行動する」という経験をしている場合があるので、大人になってからも、怒りを受けると孤独への恐怖が強く働きます。

2. 自己評価の歪み

過去の理不尽な怒りを経験していると、「自分は常に悪い」という前提で物事を考える傾向が強くなります。

この思考の歪みがあるため、他人の怒りを見たときに自動的に自己責任と結びつけてしまうのです。

3. 条件付けによる反応

心理学でいう「古典的条件付け」によって、怒りと自己責任感が結びついています。

子どもの頃の怒りの経験がトリガーとなり、大人になっても同じ反応が自動的に出てしまうのです。

この苦しみは孤独への恐怖とも関係している

怒りを自分のせいだと思うとき、実は怒りそのものよりも、孤独になることへの恐怖が核心にある場合が多いです。

  • 怒られる → 自分が非難される → 孤立するかもしれない → 安全が脅かされる

この連鎖が、心の苦しみを生みます。

怒りを受けた瞬間に胸が締め付けられるように感じるのは、孤独や拒絶に対する不安が表面化しているからです。

具体的にできる対処法

では、こうした感情にどう向き合えばよいのでしょうか。

僕自身も取り入れて効果を感じている方法を紹介します。

1. 自動反応を客観視する

まず、怒りを自分のせいだと思う反応が出たときに、「これは過去の学習による反応だ」と意識的に認識することが大切です。

例えば、同僚がイライラしていた場合に「自分のせいだ」と感じても、頭の中で次のように言い換えます。

「今の怒りは、相手のストレスかもしれない。自分の行動とは関係ない可能性がある。」

この一言で、心が少し軽くなります。

2. 感情と自分を分離する

メタ認知を使い、「感情=自分ではない」と意識することも有効です。

怒りや不安は心の中に現れる感情であり、それが自分自身の価値を決めるわけではないと理解するのです。

3. 安全感を自分で補う

孤独や拒絶への恐怖を感じるときは、自分の内側に安全な場所を作る練習をします。

具体的には、安心できる言葉を自分にかけたり、深呼吸して心を落ち着けたりするだけでも効果があります。

4. 過去の体験を言語化する

理不尽な怒りを受けた過去を整理して言語化することで、心の中の混乱が減ります。

日記に書いたり、信頼できる人に話したりすることで、怒りの体験を客観的に見られるようになるのです。

5. 境界線を意識する

他人の感情と自分の行動を分けることも重要です。

他人の怒りは他人の問題であり、あなたの責任ではないと理解しましょう。

境界線を意識することで、過剰な自己責任感から解放されます。

 

 

 

まとめ

誰かが怒っていると自分のせいだと思ってしまうのは、過去に理不尽な怒りを受けた経験が無意識に影響していることが多いです。

特にアダルトチルドレンとして育った方は、怒りを受けることで孤独や拒絶への恐怖が呼び起こされ、自己責任感が強く働く傾向があります。

 

しかし、大人になった今、他人の感情は必ずしも自分の責任ではないと理解することが可能です。

自動反応を客観視したり、感情と自分を分離したり、過去の体験を言語化したりすることで、心の負担を和らげることができるのです。

 

重要なのは、自分を責め続ける必要はないということ。

そして怒りの原因が自分にあると感じるときは、まず「これは過去の学習による反応かもしれない」と一呼吸置くこと。

そうすることで、少しずつ他人の感情に振り回されずに、心穏やかに日常を過ごせるようになりますよ。

 

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