僕たちが抱える生きづらさの原因というのは、規範意識というのが関係しています。
「〜でなければならない」「〜しなければならない」「〜すべきだ」というある種の正解のような枠組みを抱えているため、その枠組みからはみ出してしまう自分を、どうしても認めることができいなくなってしまうのです。
あるべき姿に覆い尽くされた、本当の自分。
僕たちはそのベールを拭い去り、本当の自分を見つけなければ、自分らしく生きることはできないのです。
では、どうしたらその規範意識を手放していくことができるのか。
今回の記事では、規範意識について掘り下げ、その手放し方について考えていきます。
世に溢れた規範意識
世の中には規範というものが多く存在しています。
一般論、ルール、モラル、法律、常識など、僕たちをあるべき姿に縛るために作り上げられた規範というのは数え切れないほど存在しているのです。
そして、その規範を守ろうとする意識というのが規範意識。
その結果「〜でなければならない」「〜しなければならない」「〜すべきだ」といった思考に支配されていってしまうのです。
この“あるべき姿”は、多くの場合、家庭でのしつけ、学校教育、メディア、そして文化的背景のなかで繰り返し刷り込まれた価値観によって形成されます。本人の自由意思というより、外部から自然に内在化された規範であることが多いのです。
ただ、別に規範意識を持つことは悪いことではありません。
規範を守ることで、誰かを不幸にすることなく、道徳的、倫理的に正しく生きることができるようになるからです。
ここで僕たちが注意すべきことというのは、過剰な規範の遵守、そして規範からはみ出た存在に対する否定的な感情を持つことです。
過剰な規範の遵守
ルールは守るもの。
これは小学生の頃に習ったことですが、規範というものを守ろうとするあまり、自分が苦しくなってもそれに従ってまで守らなければならないのかといえば、そうでもないことも多いです。
もちろん法律など、人を不幸にするようなことを避けるために存在しているものは守るべきですが「大人なんだから他人を許すべきだ」だとか「いい歳なんだから結婚すべきだ」といった別に守らなくても誰も不幸にならなような規範は手放しても良いのではないでしょうか。
世間で言われている正しい姿を追い求めることは美徳なのかもしれませんが、人というのはあるべき姿になるように作られていません。
未熟で、弱くて、劣った部分もあるのが人間です。
それを加味して、適度に規範を遵守することが大切なのではないでしょうか。
規範的でないことに対する否定
あるべき姿にそぐわない自分は、だめな人間だ。
こういった捉え方をしてしまう人は多いです。
心理学の分野では、このような「〜すべき」思考は“スキーマ”や“自動思考”と呼ばれ、過去の経験や学習により形成されることが知られています。認知行動療法では、これらの過剰な思考がストレスや生きづらさの原因になるとされ、柔軟に再構成することが推奨されています。
実際はあるべき姿なんていうのは誰かが作った枠組みでしかないのだから、はみ出してしまっても仕方ないし、はみ出すことが当たり前なのに、どうしてか規範的でない自分や他人に対して、悪く感じてしまう人というのは多いのです。
もしかしたらそれは、ルールを守らなかったときに怒られた経験が関係しているのかもしれません。
お礼を言わなかったら「ありがとうと言いなさい」と怒られた。
それは、ありがとうと言うべきであるという規範からはみ出た自分を否定されているのと一緒なのです。
確かに、感謝を伝えることは大切なことなのは言うまでもありませんが、言わなければいけないわけではありません。
あくまで「べき」であり、してもしなくてもいいのです。
皆さんの過去にも、こんなことがたくさんあったのではないでしょうか。
あるべき姿からはみ出ている自分を否定された過去があったはずです。
だからこそ僕たちは、世間一般で言われている「規範」からはみ出してしまうと、どうしてか罪悪感を感じてしまう。
自分は悪いのではないかと感じてしまうのです。
規範意識を手放していく
まずは気づかなければなりません。
規範意識というのは、必ずしも守らなければならないものではないということを。
そして、仮に規範的でなかったとしても、それは悪いことではないということを。
守らなくても生きていけるし、誰かに損害を与えなければそれでいいのです。
そして、本当にその規範意識は正しいのかも考えてみることが大切です。
「男なんだから女性には奢らないといけない」なんていう規範意識をよく聞きますよね。
昔の僕も意地でも奢っていたものですが、果たして本当にこれは正しいのでしょうか。
改めて考えてみると、奢る必要性はありませんよね。
奢るという行為は、すべきだから奢るのではなく、奢りたいから奢るものなのです。
盲目的に、あるべきだからという理由でこういった規範に従い、自分の意志とは逆の行動を取り続けていると苦しくなってきます。
ですから、自分が無意識的に抱えている規範意識を意識上に持ち上げ、それが正しいかどうかを精査していくことで、規範意識を手放し心に従って生きることができるでしょう。
規範意識を捨てた先に
規範意識を捨てていくと、心を縛り上げていた鎖がなくなっていき、心に従って生きることができるようになります。
それはまさに自分らしく生きるということであり、不要な規範と必要な規範を整理するということにもつながっていくのです。
僕たちは想像以上に盲目的に世間のルールに従って生きてきました。
それは、自分を守るためでもあるし、よりよく生きるための選択でもありました。
確かに昔の自分は規範に従うことが重要だったかもしれません。
ですが、今のあなたに必要かどうかはまた別の話。
いままで抱えていたものを、ずっと抱えておく必要はないのです。
手放しても大丈夫。
あなたはその規範意識に守られなくても、生きていける力がある。
今まで守ってくれてありがとうと感謝を伝えて、お別れを告げることで、人生はまた一歩進んでいくのです。
まとめ
僕たちの生きづらさの原因には、「〜すべき」「〜でなければならない」といった“規範意識”が深く関わっています。
それらは社会の中で生きるうえで一定の役割を果たしてきましたが、無意識のうちに自分を縛り、本来の自分を否定する原因にもなっているのです。
大切なのは、その規範が本当に自分にとって必要なものなのかを見極めること。
そして、不要なものは手放していくことです。
それは、ただ規範に逆らうことではなく、自分の心の声に耳を傾け、自分らしい選択をしていくということ。
規範を手放した先には、「こうあるべき」という鎖のない、自由で誠実な生き方があります。
誰かの期待や社会の正解ではなく、あなた自身が納得できる生き方をしていきましょう。