自分らしく生きるとは、他人の期待に応えすぎず、自分の気持ちや価値観を無視せずに行動することです。
けれど、実際には私たちはしばしば「嫌われないように」「傷つかないように」と、つい迎合したり、自分の気持ちを押し殺してしまいます。
なぜなら、それを手放すと何か大切なもの、つまりは愛情や承認、つながりなどを失ってしまうのではないかという「恐れ」があるからです。
では、この恐れをどうすれば乗り越えられるのでしょうか?
その鍵は、これまで他人を通じて埋めようとしてきた「心の空白」を、自分の手で満たしていくことにあります。
それはつまり、精神的に自立するということです。
本記事では、この「精神的自立」について、具体的に考えていきます。
自立ってどういうこと?
「自立」とは、他人に依存せず、自分の力で物事を完結させることです。
たとえば、「経済的自立」とは、他人に頼らず自分の収入で生活を支えることを指します。
同じように、「生活的自立」は、掃除や洗濯、食事など、日常の生活を自分一人で営める状態です。
これらに共通するのは、「誰かにしてもらう」のではなく「自分でできる」という状態。
そして、これと同じ構造を持つのが「精神的自立」なのです。
精神的に自立するって?
精神的自立とは、「心の満たされなさ」や「不安」を、他人の存在に頼らずに自分でケアできるようになることです。
人は本能的に、誰かに認められたい、受け入れてほしいと思う生き物です。
だから、SNSのいいねがつかないと落ち込んだり、誰かに無視されると不安になったりするのは自然なことです。
しかしその感情に支配されてしまうと、自分の価値や安心感を他人に委ねすぎてしまいます。
● 誰かの言葉に一喜一憂する
● 嫌われるのが怖くて本音が言えない
● 返信がないだけで不安になり自分を否定してしまう
こうした状態は、心の土台が「他人次第」になっている状態です。
精神的自立とは、そういった心の拠り所を外側ではなく、自分の内側に持つことを指します。
● 誰に何を言われても、自分を肯定できる
● 一人でも自分と向き合い、安心できる
● 誰かに好かれなくても、自分の存在を否定しない
そういった感覚を育てていくことが、精神的自立の核心と言えるでしょう。
なぜ私たちは“依存”してしまうのか
ここで誤解してほしくないのは、「完全な精神的自立」を目指す必要はないということです。
人は誰しも、誰かに頼ったり支えられたりしながら生きていきます。
それ自体は悪いことではありません。
むしろ自然なことです。
問題なのは、自分の心の安定を「他人が満たしてくれること」に過度に依存している状態。
そうなると、相手の機嫌や反応に怯えて、本当の自分を抑えてしまうのです。
「嫌われたくない」「認められたい」という気持ちが強くなると、本音を言えなくなり、相手に合わせすぎてしまう。
すると、だんだん自分の気持ちや感情がわからなくなり、苦しくなっていくんですね。
だからこそ、「自分で自分を満たす」ことが必要なのです。
それが、他人の期待に左右されず、自分らしく生きるための一歩になるからです。
どうすれば精神的に自立できる?
では、精神的自立をどうやって育てていけばいいのでしょうか?
それは一言でいえば、「自分で自分を認め、愛し、許す」ことです。
ただここで重要なのは、「なぜ自分で自分を満たせないのか?」という問いに向き合うことです。
本来、自分の心の空白は、自分で埋めればいいはず。
それができないのは、自分で自分を認めたり、愛したり、許したりすることができない理由があるからです。
その多くは、「~すべき」「~であるべき」といった規範意識や思い込みに根ざしています。
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こんな自分じゃダメだ
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もっとちゃんとしないと価値がない
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みんなに好かれないと存在してはいけない
こうした根拠のない自己否定が、あなたの心の自由を奪っているのです。
あなたが抱えているその思い込み、本当に正しいのでしょうか?
もう一度立ち止まり、それが本当に必要な価値観なのか、自分にとって優しい考え方なのかを見直してみてください。
もしかしたら、それはもう手放してもいい「古いルール」なのかもしれません。
まとめ
私たちはつい、誰かに認めてもらいたくなります。
誰かにそばにいてほしいし、嫌われることを恐れて、自分の気持ちを飲み込んでしまうこともあります。
でも、それは「他人に満たしてもらう」という依存の形で、自分を抑圧しているのかもしれません。
精神的自立とは、そうした依存の形を少しずつ手放し、「自分で自分を満たせるようになること」です。
そのためにはまず、「どうして自分を認められないのか?」「なぜ他人に愛されないと、自分の価値がなくなる気がするのか?」といった、自分の内面にある“思い込み”や“規範意識”を見直す必要があります。
あなたは、他人に認められなくても、価値ある存在です。
誰かに好かれなくても、愛してもらえなくても、自分の手で満たすことはできるのです。
完全な自立など必要ありません。
けれど、自分を取り戻す一歩として、今日、ほんの少しだけ「自分を認めてみること」から始めてみてください。
それが、自分らしく生きるための第一歩になります。