「どうしてこんなに頑張ってるのに、満たされないんだろう?」
そんなふうに感じたことはありませんか?
前回の記事では、「悩みの根っこには欠乏感がある」というお話をしました。
今回は、人に合わせようとしたり、他人の機嫌を伺ったりなどの“欠乏感を満たそうとする行動”が、かえってあなた自身を苦しめているかもしれない…という視点でお話ししていきます。
欠乏感が“行動”を生む
僕たちは、欠乏感を抱えたままでは苦しいので、それをなんとか満たそうとします。
欠乏を埋めたり、それを避けようとすることで、僕たちは安心を求めているのです。
つまり欠乏感が欠乏を満たしたいという欲求を生み、その欲求が行動を生んでいるのです。
例えば、自分は愛されていないという欠乏感を抱えている人は、愛されたいという欲求を抱え、誰かに優しくしすぎたり、嫌われないように自分を抑えたりします。
自分には価値がないという欠乏感を抱えている人は、認められたいという欲求を抱え、人よりも頑張ろうとしたり、無理して成果を出そうとします。
こうした行動だけを見ると“前向き”に見えるかもしれません。
けれど、“本来の自分”を偽るような姿であったり、「無理をしている姿」であればあるほど、実は心の奥で自分自身が苦しんでしまっているのです。
“満たそうとする行動”が逆効果になるとき
欠乏感を埋めようとする行動が、かえって苦しみを生んでしまうときというのは、だいたい以下のような状態です。
・やってもやっても安心できない
例:貢いでも愛されてるか安心できない、お金を稼いでも足りるか安心できない
・求めても求めても満たされない
例:愛してほしいけど愛されない、認められたいけど認められない
・誰かに求めすぎて関係が壊れてしまう
例:安心したくて連絡を早く返して欲しいと求めてしまう
・がんばりすぎて、どこかで限界を迎えてしまう
例:自己価値を感じるために仕事で無理を続けてしまう
つまり、“満たされないまま走り続けるループ”に陥ってしまっているということ。
この状態では、どれだけ行動しても、どれだけ誰かに認められても、「まだ足りない…」という感覚がついてまわります。
行動の裏にある「心の目的」に気づく
だからこそ大事なのは、“なぜその行動をしているのか”という、自分の内側の「目的」に気づくこと。
たとえば、
・「やさしくすることで、愛されようとしている」
・「成果を出すことで、認めてもらおうとしている」
・「不安を避けるために、相手の反応をコントロールしようとしている」
というように、自分の行動の裏にある“心の動機”に気づくことで、「あ、私は今、“満たそうとしていたんだな”」という視点が生まれます。
この気づきこそが、「行動の手放し」や「自分を解放する」第一歩になっていくんです。
僕自身の経験
僕もかつて、愛されたい一心で、誰かの機嫌をとったり、必要以上に自分を良く見せようとしていた時期がありました。
でも、どれだけ気を遣っても、どれだけ自分を抑えても、「本当に愛されている」とは感じられなかったんです。
それどころか、「こうしないと愛されない」という思い込みが強まっていって、だんだんと自分が空っぽになっていくような感覚がありました。
それは、愛されたいがゆえに、自分を見失っていく苦しみでした。
今思い返せば、愛されたいのは「偽りのない自分」なのだから、偽っている限り一生愛されている感覚を得ることなんて無理だったと思います。
でもある時、「あ、僕は“愛されたい”という欠乏感を埋めようとしていただけなんだ」と気づけたことで、少しずつ行動を変えていけました。
まず、愛されることで自分の価値を見い出すことをやめて、自分がどう生きるかに価値を見い出していくことにしました。
他者の評価を採用しないと決め、愛されるよりも愛することを大切にするようにしたのです。
また、自分を偽ることをやめました。
確かに、偽らずに自分を曝け出した結果嫌われたりしたら否定された気がして悲しいし、嫌な気持ちになるでしょう。
でも、それでもいいとしたんです。
自分を偽るということは自分を否定すること。
まずは自分が否定しないようにして、もしそれで嫌われるのなら、その人との関係はそこまでだったと、その人との関係に対する執着を捨てるようにしました。
その結果“愛されようとする行動”ではなく、“自分らしくいること”を大切にするようになっていったのです。
もちろん、今でも不安になることはあります。
でも、以前のように振り回されなくなりました。
「自分を否定せずに生きる」ことが、少しずつ日常になってきています。
「やめること」が、自由への第一歩
多くの人が、「どうすれば満たされるか?」ばかりに意識を向けがちです。
でも、本当に大切なのは、「どうすれば手放せるか?」のほう。
・愛されようとして無理をしているなら、その無理をやめること。
・認められようとしてがんばりすぎているなら、少し立ち止まること。
・不安を消そうとコントロールしているなら、その手を緩めてみること。
「やめたいけど、やめたら嫌われるかもしれない」「頑張るのをやめたら、何者でもなくなってしまう気がする」そう思ってしまうのも無理はありません。
それでも、そうした“やめる勇気”こそが、欠乏感から自由になるための一歩になるのです。
まとめ
あなたの今の行動は、「何かを埋めようとする行動」になっていませんか?
その行動は、本当にあなたを幸せにしていますか?
もしもその行動が、あなた自身を苦しめているのだとしたら、まずは「そうだったんだ」と気づくことから始めてみてください。
気づきは、あなたを責めるものではなく、あなたを解放する力です。
焦らなくていい。
少しずつ、少しずつ。
あなたが“本来の自分”に戻る旅を、これからも一緒に歩いていきましょう。
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